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犬猫の歯周病

犬猫の歯周病

キレイな歯は健康への第一歩

犬と猫の歯が何本あるか皆さんご存知ですか?
一般的に犬は42本、猫は犬より少なく30本で構成されています。
ちなみに人間は28本(親知らず含め32本)です。

ということで、今日は犬と猫の“歯周病”についてのお話です。

歯のつくり

歯造(歯の表面)は、身体の中で最も硬い組織である「エナメル質」でおおわれており、エナメル質の下層には象牙質があります。また、歯根の表面はセメント質でおおわれています。

犬や猫は食べ物を切り裂いて食べるための犬歯が発達していますが、食べ物をすりつぶすための臼歯はあまり発達しておらず、顎は左右には動きません。

歯垢と歯石

歯肉に沿って歯冠に付着した細菌が増殖して蓄積すると、歯垢を形成します。歯垢は「プラーク」とも呼ばれ、唾液中のカルシウムが結合すると歯石になり、簡単には除去できなくなります。歯垢や歯石の中には多くの細菌が存在し、この細菌が歯肉炎や歯周炎を引き起こす原因となります。場合によっては、この細菌が毛細血管から血液中に入り込み、やがて心臓に運ばれて心臓病の原因となることもあります。

歯周病

歯周病は、歯を支える歯肉や骨などの歯周組織に炎症が起こる病気です。歯周病は中〜高齢期の犬や猫において、すべての疾患の中で最も多い疾患です。また、2歳以上の犬の約80%、猫の約70%が罹患しているという報告もあります。
歯周病は、食事内容やストレス、あるいは動物の寿命が延びたことが誘因となり、罹患率が高くなっています。

また、犬の口腔内はpH8〜9のアルカリ性であるため、歯垢から歯石に変化する期間は3〜5日で、猫では1週間程度と非常に早いのも特徴です。一方、ヒトでは口腔内が弱酸性のために歯石形成は数日からはじまり、1ヶ月以上を要します。
つまり、ヒト以上に日々のオーラルケアが重要です。

歯周病の治療

歯周病の初期症状は、歯茎の腫れや出血、口臭などです。進行すると歯肉が下がり、歯がグラグラする、歯茎から膿が出る、顔周りを触ろうとすると嫌がるなどの症状が現れます。歯周病になってしまった場合は、動物病院での治療が必要です。

歯周病の治療には、歯垢や歯石の除去、歯周ポケットのクリーニング、場合によっては外科的な治療(抜歯など)もおこなわれます。

当院では、歯周病予防としてのクリーニング、万が一、歯周病になってしまった際の歯周病治療に力を入れています。

歯の健康を維持するために

前述したように歯石が付着すると簡単には除去できなくなりますから、歯垢が歯石にならないうちにブラッシングなどで取り除くことが理想です。しかし、多くの犬や猫は口の周りを触られることを嫌がります。そのため、ブラッシングをスムーズに行うには、トレーニングを繰り返して徐々に慣れさせる必要があります。なるべく小さいうちからはじめると良いでしょう。

また、食事によるケアも重要です。歯垢は唾液中のカルシウムが結合することで歯石になってしまうので、カルシウムが歯垢に結合しないようにすることで歯石の形成を抑えることができます。ポリリン酸ナトリウムはカルシウムと結合し、歯石を抑えることに役立ちます。

また、よく噛むことでブラッシング効果を得られるように食事を工夫する方法もあります。そのほか、粘稠度の低い食事や噛むもの(骨・生皮やおもちゃ)を与えられた犬の方が歯石の付着は少なく、歯周病を発症させにくいと言われています。ただし、骨・生皮やおもちゃなどは誤飲の恐れがあり危険です。まずは指による歯磨きから始めてみましょう!

歯磨きジェルなどを使うと歯磨きを好きになってくれるかもしれませんよ。わからないことがあればお気軽に当院へ相談してくださいね。

日々のオーラルケアは大変ですが、正しい知識を得て歯周病予防に努め、健康な体を維持できるよう頑張りましょう!